01 INTERVIEW

katsuya takamine

髙嶺 克也 株式会社 びねつ  代表

自分の弱さを「きちんと」さらけ出す。

完全に会社をクビになりかけていました。

_高嶺社長はこれまで何をしてきましたか。

大学進学と同時に県外へ行き17年間、東京で生活していました。仕事は広告代理店の企画や営業をやっていました。そして『もうそろそろ実家のお墓を守らないといけないなぁ~』と考えたのがきっかけで沖縄へUターンしました。Uターン後は、那覇市に所在するあるインターネットメディアを運営する企業へ入社しブライダル事業に関わります。その事業が、立上げから全く儲かってなくって・・・。
ビジネスモデルとしては、当時業界初の取り組みをしていました。結婚式を挙げるカップルと結婚式場をマッチングさせるリボン型のビジネスモデルで、そのマッチングを有料情報誌を介して行います。ここまでは既存の広告モデルとなんら変わり映えしないのですが、その事業は既存の広告モデルでは無く、結婚式場側は情報誌に無料で情報を掲載し、それを見たカップルが来場し、式の成約が決まり、結婚式が施行されれば費用が発生するという完全成果型のモデルで行っていました。ですが・・・なかなか成果があらわれません。
結婚式の成約が決まったら、連絡くださいねと待ちのスタイルでいたんです。すると、見事にほとんどの式場からの連絡が来なかったんです。式場側はどこから送客された顧客か、判別しづらかったかったんですね。なので、事業立ち上げから2年間売上が全く立っていなかった。
ですが、雑誌を発行するたびに毎回数百万の出費がかさむんです。何とかすべく、市場調査、ビジネススキームなどを洗い直し、WEBに特化にするとか、結婚式を挙げる予定の無い潜在層にアプローチする企画など、いろいろ試行錯誤しました。ですが、自分の力不足もあって、志半ばで事業をたたまざるをえない状況に。その時は、完全に会社をクビになりかけていましたね。


全勢力を突っ込んだ一点集中。

_何故、ベンチャーという選択肢を選んだのですか。

僕個人の経験上の話になるのですが、企業に属するとしがらみも多かったり、特に事業スピードが遅くなる。短期間で成長し市場を取るには?と考えた場合、機動力のあるベンチャーをやるべきだよな、という考えに至りました。ベンチャー企業が一気に市場を席巻するケースが有りますよね。ベンチャーは一点集中、そのプロジェクトしかやらないので、大手よりも熱量や、機動力がある。資金面では弱いかもしれないけれども、大企業に勝てるチャンスが有る。勝率が上がるのかな?と考えてベンチャーを立ち上げました。
大企業の力の何分の一よりも、ベンチャーの全勢力を突っ込んだ一点集中。勝ちにこだわり、それをやりたかったですね。


_これまでに、どんな失敗(チャレンジ)を経験しましたか。

新規事業はことごとく、やらかしてきましたね。
先程、ここで紹介したブライダル事業とか、沖縄県民向けの福利厚生プロジェクトとか。それから一世を風靡した時計ガジェットの企画とかですね。大手旅行会社とコラボで、海外挙式を挙げるカップル向けに、『時を買い取ろう、◯月◯日の▲時から▲時の間は新婚の二人が時間をジャックする』企画を実行しました。当初は、ものすごく盛り上がり、TVやラジオ、大手ネットポータル記事にも取り上げられて、売上もすごく上がったのですが、ですが、すぐに飽きられてしまって・・・。継続的に、売上を持続させる事業を作ることがこんなにも大変なんだと痛感しましたね。まぁ、今も痛感していますが・・・。


あなたの事業計画はダメだ。

_ベンチャーが故、辛かったことはありますか。

・・・最初は一人だけだった。それが辛かったですね。
最初の頃はひたすらテレアポです。だけど、サービスサイトは無い。だから窓口の担当から『おたく、結局何やってるの?』と言われる。大企業では、認知度と信頼はありますが、ベンチャーはそれが皆無。それから、ある公共施設の一室をオフィスとして借りようと申請して事業内容をプレゼンしたのですが、『あなたの事業計画はダメだ。今までこのような事業は見たことが無い。事例がない事業はうまくいく根拠が見えないので、オフィスは貸しません。』とこてんぱんに言われました。これも辛かったですね。
捨てる神あれば拾う神あり。その後、ご縁があり株式会社マイルストーンの玉城社長に事業計画書をお見せする機会を頂いて、『事務所の隅っこを貸してください。』と頼み込みました。そして、マイルストーン様のオフィスの片隅を約2年間にわたり借りていました。初見の事業計画のプレゼンで、事務所の貸しだしを快諾してくださった恩人、玉城社長には本当に感謝しています。


沖縄特有の既得権益の打破がモチベーション

_プロジェクトを走らせるモチベーションは何処からくるのですか。

「すべての求職者と、すべての求人企業の情報格差を無くす」
既存の求人広告モデルは、当たり前ですが求人広告費としてお金を捻出できる企業さんしか求人広告を出せません。人材を集めようとした段階で既に一定のお金が必要なんです。ですが、事業者の約8割が5名未満の零細企業の沖縄では、なかなか求人広告費を捻出することが出来ないんです。また、一方で求職者側にも弊害があるんです。いつも同じ求人ばっかり。つまり資金がある企業しか求人広告を出せないので、上記の状態になり、見飽きてしまい、失業期間が長くなってしまう。ダブルの負のスパイラルに陥っている。その両方の課題を解決することができる仕組み、それが成果報酬型のビジネスモデル。仕事を求めている人も、人材を求めている企業もwin-winの関係になれるじゃないですか?


高所得者も多い沖縄で、低所得者も圧倒的に多い沖縄県。

既得権益を打破して、求人業界全体を自由競争にしたいという思いが、一番のモチベーションです。
沖縄特有の既得権益やお金を持っている人がずっと儲かる社会、貧困の環境下で生まれた人は貧困から抜け出しにくい沖縄県なので、特に強く思います。高所得者も多い沖縄で、低所得者も圧倒的に多い沖縄だからこそ、沖縄の求人業界に変化をもたらすことで、再チャレンジのチャンスも広がっていくと考えています。それから、企業って人で変わるじゃないですか?人材の流動化を促し、働く人が本当に求められている職業にマッチングした時に、会社全体として成長する事例がある。そうすることで、県内の小さな企業でもトップを取れるチャンスが生まれる。やっぱり、沖縄特有の既得権益の打破がモチベーションなのかもしれませんね。


当事者意識を共有する

_ベンチャーを成功させる上で大切に思っていることは。

正直に言うと、未だプロジェクトを成功させていないので答えはわかりません。
現時点で言えることは、一緒にプロジェクトに係るメンバーの当事者意識が重要だと考えています。メンバーにはよく『自身が関わるプロジェクトに圧倒的な当事者意識がなければ、ウチにはいらない。』と言っています。遠隔で働いているメンバーもいるのですが、本人に当事者意識があれば全然問題ないですね。


お金があってもなくても、得られる情報は平等であるべき。

_プロジェクトを成功させた後、考えていることは。

同じビジネスモデルの横展開を考えています。中古車や不動産のマッチングですね。情報は無料。お金があってもなくてもできるだけみんなが得られる情報は平等であるべきだと考えています。情報格差が貧困格差と言われていて、沖縄ではそれが如実にあらわれている。それを変えていきたいですね。学生を卒業し、「仕事」始めて、好きな「車」買って、独り立ちして「家」を探す。人生の節目節目で重要な選択肢(情報)を無料で提供する。そんな、誰もが平等に情報触れることができる経済圏を作っていけたらと考えています。


自分の弱さを “ちゃんと” さらけ出すこと

_今後ベンチャーを志している方々へ一言

とりあえずの行動力、諦めないこと。それから、自分の弱さを “ちゃんと” さらけ出すこと。そして遠慮をしないこと。最初は誰でも当たり前に弱い。腹を割って自分の弱さまでさらけ出さないと、誰も助けてくれない。自分の弱さをさらけ出すことは勇気がいること。何も無いところから始まるのがベンチャーだと思う。